8月31日、第13期全国人民代表大会常務委員会の第5回会議で「中華人民共和国電子商取引法」が可決され発布された。施行は2019年1月1日からだが、電子商取引(EC)に関しては中国国内ではこれまで法整備があまり進んでないこともあり、本法の影響が多方面に及ぶ可能性がある。法律構成は、以下の通りである。
第1章 一般
第2章 Eコマースオペレータ
セクションⅠ 一般条項
セクションII Eコマースプラットフォームオペレータ
第3章 電子商取引契約の締結とその実施
第4章 電子商取引紛争解決
第5章 Eコマースプロモーション
第6章 法的責任
第7章 附則
今回の立法化の背景の一つとして、中国国内で爆発的な伸びを示しているEC市場において、さまざまな問題の発生が挙げられる。ECを巡っては、消費者と事業者との間でトラブルが頻発している。こうした事態を受けて、今回策定された法律には、消費者の権利を守るためにECプラットフォームの運営者や参加事業者に対するさまざまな規制が盛り込まれており、例えば悪質だと判断された業者には最高50万元の罰金を課す内容も含まれている。
また、本法の施行は越境ECの動きを睨んだ意図もありそうだ。越境ECについては、2017年に発効した新法律に関して、現在、緩和期間中である。そのため、一部の化粧品を中国国内で販売するにあたってCFDA許可は必要ない状態になっている。
これが2019年1月から越境ECであってもCFDA許可が必須になるとの情報も出回っており、同じタイミングで「中華人民共和国電子商取引法」を施行させることで、EC市場の円滑な取り引きを推し進める意図があるとも読み取れる。
いずれにせよ、今回の発布のねらいとして、EC市場への期待さらなる発展を政府として強く後押ししていく姿勢があることは確実である。同法に基づいて市場全体の整備が今後、一層進むことが期待される。
「中華人民共和国電子商取引法」については以下のサイトで公開されている。
http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2018-08/31/content_2060172.htm
なお日本語の対訳版を希望される場合、 info@crdb.jpまでご連絡ください。